新NISA

新NISAは確定申告が「不要」で、iDeCoは「必要」の理由

新NISAとiDeCoはどちらも「老後資産の形成」を支援する制度であり、前者は確定申告が不要で、後者は確定申告が必要です。

その理由について本記事では解説していきます。

確定申告とは

1月1日~12月31日の1年間に得た所得と、それにかかる税金の額を計算し、翌年の決められた期間に税務署に報告・納税すること。
投資においては合計20.315%の税金が発生するため、それを正しく計算するために確定申告などが必要になる。

新NISAは「非課税」なので、確定申告が「不要」になる

新NISAは「非課税」なので、確定申告が「不要」になる

なぜ新NISAは確定申告の必要が無いかと言うと、そもそも投資益が非課税になるからです。

投資益にかかる税金20.315%が発生しない

本来、投資で得た利益には「20.315%」の税金が発生します。

この20.315%の税金の内訳は以下のとおりです。

税金の内訳利率
所得税15%
住民税5%
復興特別所得税
※2037年12月末まで
0.315%(15%✖️2.1%)

復興特別所得税は、2011年の東日本大震災の復興支援のために導入された税金で、所得税の2.1%を復興特別所得税として徴収する税金。
徴収期間は、2013年から2037年12月末までの25年間。

現在のところ、上記3つの税金を合わせた20.315%が投資益にかかる仕組みになっています。

しかし、新NISA口座での運用で発生した投資益に対しては、20.315%の税金全てが発生しません。

NISA口座以外での取引には勿論税金がかかります。

新NISAで非課税になる利益

新NISAで非課税となるのは、「NISA口座の取引で得た投資益」です。

この投資益には以下の3つがあります。

投資益の種類説明
譲渡益株式の売買によって生じた利益
配当金株式の保有数に応じて分配される利益
分配金投資信託の運用結果に基づいて配分される利益

新NISAの非課税枠は年間360万円なので、360万円分の投資に対して発生した利益は、如何なる状況においても「非課税」になります。

損失が出ても損益通算できない

旧NISAでは可能であった損益通算が、新NISAでは「不可」になりました。

損益通算とは

複数の口座の利益と損失を相殺して税金を計算すること。

しかし、損益通算は税金の計算が複雑になるというデメリットがありました。

新NISAは、確定申告を不要とすることで投資者の手続き負担を軽減し、長期的な資産形成を促進することが目的の一つとなっています。

そのため、税金計算が複雑になる損益通算をできなくしたのです。

非課税枠を超えて投資して得た利益には税金がかかる

新NISAの年間投資上限額は合計360万円であるため、これを超えた投資分で得た利益は「課税対象」になります。

iDeCoは「所得控除」なので、確定申告が「必要」になる

iDeCoは「所得控除」なので、確定申告が「必要」になる

iDeCoもNISAと同様に、投資益が非課税です。

しかし、掛金は所得控除になるため、確定申告は必要です。

所得控除を受けるためには確定申告が必要

所得控除を受けるには、確定申告をしなければいけません。

あくまでiDeCo制度として所得控除なのであって、それを適用させるには確定申告が必要だからです。

お金の受け取り方法によっては確定申告が必要

iDeCoは60歳以降になると、運用したお金を受け取ることができます。

iDeCoのお金の受け取り方法には「3種類」があり、扱われる所得の区分が異なります。

受け取り方法所得の区分
年金雑所得
一時金退職所得
年金と一時金の組み合わせ年金は雑所得、一時金は退職所得

雑所得には「雑所得控除」が、退職所得には「退職所得控除」が適用されます。

控除の結果として所得が20万円を超えるなら、確定申告が必要です。

確定申告は、年間の雑所得等が20万円を"超える"と申告が必要になる。

所得の計算は複雑であるため、「とりあえず自分は所得が20万円を超えるのか?」を確認したい場合は、以下の国税庁のページをご覧ください。

旧NISAで確定申告が「必要」となるケース

旧NISAで確定申告が「必要」となるケース

旧NISA時代から投資をしていた人は、新NISAと併用して投資することになります。

旧NISAの場合、以下のケースで確定申告が必要です。

確定申告が必要

  • 損益通算するケース
  • 非課税期間が終了したケース
  • 非課税枠を超えて投資するケース

順番に見ていきます。

損益通算するケース

旧NISAでは損益通算ができるため、損益通算して発生した差額分は「課税対象」になります。

新NISAは損益通算ができない仕組みなので、課税対象となる差額は絶対に発生しません。

非課税期間が終了したケース

つみたてNISAは20年、一般NISAは5年で非課税期間が終了します。

それ以降に発生した投資益は「課税対象」です。

新NISAは非課税期間が無期限なので、期限が過ぎて課税対象になることは絶対に起こり得ません。

非課税枠を超えて投資するケース

つみたてNISAは年間120万円、一般NISAは年間40万円を超えて投資した分の投資益は「課税対象」となります。

新NISAも同様に非課税枠の限度があるため、それを超えてしまうと課税対象になるのは同じです。

確定申告は「義務」ではないが、それでもやるべき理由

確定申告は「義務」ではないが、それでもやるべき理由

確定申告そのものは原則「任意」です。

しかし、納税すべき所得があるのに申告しない場合は、「脱税」とみなされるケースもあります。

納税は義務なので、納税を計算する基である確定申告は実質的に「義務」と言えます。

【まとめ】新NISAは確定申告が不要

【まとめ】新NISAは確定申告が不要

新NISA制度の枠内では、如何なる状況においても確定申告は「不要」です。

そのため、新NISA一本で勝負している人は確定申告とは無縁です。

「新NISA以外の口座」でも取引している場合は、確定申告が必要になるケースがあるため注意してください。

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